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とりあえずあげ

早朝にこうしーん更新
7975文字四捨五入で16kb
思い切り間空けたにも関わらずコメントや拍手ありがとうございました。
とりあえず波があるので更新出来るときにしておきます。
いつまた止まるかわからないし('A`)

一話当たり文章多い人は凄いと思う。
中身も大切だけどやっぱり文量多いと読み応えあっていいですよねー
見習って頑張ろう。
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外伝一話:黒紫色の理想

 絨毯が好きだ。
 柔らかい感触は自然の中で生きていた昔では想像すらつかなかった。
 それが、この屋敷にはほぼ全面に敷いてある。

 ぺたぺたぺた

 素足は止められたので、ぶかぶかのスリッパで絨毯を叩くようにして歩く。いつもはそれだけで気分がよくなるのに、何だか今日は楽しくなかった。

 ところどころに変な絵や変な花瓶や変な動く人形が置いてある廊下からは真っ黒な匂いがした。他の村の皆はこの匂いがあまり好きじゃないと言うけど、わたしは大好きだ。しーん様の匂いがする。しーん様が私のすぐ近くにいることがわかる。

 だけど、今しーん様はここにはいない。三日ほど前に出かけていってしまった。本当はわたしも一緒に行きたかったけど、置いてかれた。邪魔なんてしないのに、お仕事の時に限りしーん様は私を家に置いていく。邪魔なんてしない。どちらかというと役に立ちたいと思う。しーん様の役に立ちたい。そうしたら、しーん様ももっと私の事を好きになってくれるだろう。今のわたしはなんと魔法だって使える。一度でも機会があったら役に立つということを見せてあげられるのに。そんな事を思っている間に、しーん様はお仕事に行き、そのまま帰ってこなかった。早くかえってくればいいのに。しーん様に仕事は正直似合わない。

  おねえちゃんも勉強をしていて、かまってほしいと近寄ったら外で遊んでなさいと言われた。仕方ない。これもしーん様のためだから。わたしよりも優先するのもちょっと寂しいけど仕方ない事だと思う。わたしだっておねえちゃんの立場だったらそうするだろう。わたしも一緒にやりたいと言ったら大きくなってからと断られた。失礼な話だ。だけど、大きくなったらと言われると大きくなる時が楽しみになるから悪い事ばかりではない。大きくなったら勉強して強くなってしーん様の役に立ってしーん様に愛してもらっておねえちゃんと一緒に楽しく暮らすのだ。その時の事を考えるとわくわくする。

 外で遊ぼうにも何もやることがない。この家に来てがっかりだったことは、同じ村の友達がいない事だった。皆最低でもおねえちゃん以上だ。簡単に言うとしーん様のあいじん候補のみ。わたしだって本当は村に返されるはずだった。結局返されなかったのはわたしに家族がおねえちゃんしかいなかったからというただそれだけの理由だったりする。

 ぺたぺたと歩く。
 絨毯の上を歩く。
 闇の気配がした。
 どこまでも深く意識が飲み込まれるかのような黒の気配が。








外伝一話【ナリア・フリージアの探検記その0】




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明けましておめでとうございます。

明けましておめでとうございます。
いつの間にか一月も二十三日。
昨年はぐだぐだ致しました。今年もぐだぐだ致します。
新年もどうぞよろしくお願いします。

第四十四話:黒紫色の理想

 耳が痛いほどの静寂が訪れる。
 軒並み高レベルの人間が集まっているとはいえ、この状況を瞬時に理解できる人間はいない。恐らく今一番この状況を俺。となればアドバンテージを無駄にしないように行動すべきだ。全ての視線がこちらに向かっている今だからこそ出来る事もある。
 俺は、まだ皆の頭が状況を判断しかねているうちに、側に直立していたクリアと何を考えているかわからないKillingFieldの手をそっと掴んだ。
 タイミングを見計らえ。感覚を研ぎ澄ませろ。
 炎の結界により一歩後ろに下がった気配。反射的に唱えた遠見の術により、炎の向こうにあるその姿を俺は完璧に捉えていた。
 オーラは微塵も損ねず。気配は剣呑にして健在。
 悪夢から抜けだしてきたような漆黒の体躯。姿形は人間に近いが真っ赤に光る瞳が胡乱にさ迷い、目的もない殺気は果たして生き物のものか否か。
 一瞬その赤き眼がこちらの視線とあった。もちろん気がしただけだが。

「ついてこいシルク」

「はい」

 突然の命令にもシルクは戸惑わない。はっきり残された感情と不安定だからこそ美しい信頼は人間味のなかったクリアには手に入らなかったものだ。

 俺は僅かに唇を歪めて笑う。

 そして、そのバグが一歩前に踏み出すと同時に、俺は思い切り地面を蹴った。
 同時に起こった奇妙な音。
 緩やかに流れる視界は扉の側にいた人間が紙切れのように吹き飛ぶ姿を捉えていた。その中には護衛も混じっている。まともに相対していればそう簡単にやられなかったはずの戦士は、こちらに注目していたが故にあっさりと隙を突かれ、大きな代償を払うことになった。連日切磋琢磨し自らを磨き上げた鋼の戦士はそう簡単に死にはしないが、護衛対象たる人間はそんなに頑丈ではない。真っ赤な飛沫が神殿内の湿った空気を染める。肉片一つ残さず人が死ぬ。ただの打撃なのに結果は爆散に近い。まあLVもそんなに上げていない生身の人間ならそんなものか。
 しかしスマートじゃないな。やはりあれはまともにやりあってはならない獣の類だ。
 
「て、敵襲だッ!!」

 そこで初めて誰かが大声を上げた。半分が状況を理解し戦闘態勢に入り、もう半分は自らの主人の前に立つ。一部が守られるままに立ち尽くす。俺は、二人の手を取り一人を伴ってそのへんに立ち尽くすやたら豪奢な衣装を着たおっさんの後ろにさっさと身を隠した。

「く、ななな何だ君は」

「うっさい」

 話してる暇が無駄だ。
 動揺を敵意で宥め、静かに息をひそめる。
 アレの狙いが俺だとしても、アレが俺だけを狙うとは限らない。何たってこの部屋には大量に生き物が、そして戦士がいるのだ。せいぜい足掻いてもらおうか。

「貴様、何者だ!」

 獣の一番近くにいたどっかの国の護衛らしき男が律儀にも詰問する。馬鹿なやつだ。
 俺ならあれを見て人語を解するとは思わないが……いや、解してもわざわざその問いに答えるとは……ましてや仮に応えたとしてその答えを信用出来るとは思えないが……。先手必勝の文字を知らないのかあふぉが。

 一瞬動きを止め、バグはその問いに、緩慢な動作で応える。影がゆっくりと自然な動作で腕らしきものを上げる。頭が狂いそうになるくらい濃密な瘴気が聖域を一瞬汚す。
 そして、その腕が詰問した男に向かって振り下ろされた。
 まるで力が入っていないように見える動作。果たして攻撃かどうか迷うような緩やかな振り。
 男が一瞬戸惑い、篭手のような物を付けた腕で防御体制を取った。それでも、対応できたことは褒めてやるべきだろう。その動作は悪意を除けばまるで撫でるかのような振りだ。冗談のようにしか思えない。一般人だったら攻撃かどうか判断しかねただろう。何もできずに立ち尽くすだろう。
 だが、結果的には防ぐという選択も間違いだった。男は避けるべきだった。回避はそれほど難しい事ではなかったはずだ。その動作は非常にゆっくりしたものだったのだから、後ろに引いてでも横に引いてでも避ける事ができたはずだ。その判断の間違いを後悔する間すらなく、男の身体に影の腕がめり込んだ。

 俺の眼は、全てを捉えていた。

 一瞬の後、爆発音に似た音が神殿を揺らす。






第四十四話【真なる悪意の話】





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